システム開発

オフショア開発完全ガイド!わかりやすく簡単に解説!

この記事を読むことで以下のことがわかります ✅オフショア、オンショア、ニアショアの違い ✅ オフショア開発の目的 ✅ オフショア開発のメリットとデメリット ✅ オフショア開発の主要対象国とそれぞれの特徴 ✅ オフショア開発を成功させるための進め方とポイント

オフショア開発とは何か、その基本概念から実践的なポイントまで、簡単にわかりやすく解説します。

非常にボリューミーなので、必要な箇所をお読みいただくのをお勧めします。

簡単に弊社の自己紹介だけさせてください。

・コスト削減や優秀な人材の確保といったオフショア開発のメリットを最大限に活かしつつ、品質管理などの課題にもしっかり対応することで、多くのお客様からご満足の声をいただいております。 ・エンジニア確保のため、ベトナムのYOPAZ社(創業5年/メンバー80名以上)と業務提携を行い、オフショア開発案件を多数成功させてきました。 ・オフショア開発における言葉の壁を、日本人PM(プロジェクトマネージャー)がコミュニケーションの橋渡し役となる事で、解消しています。

当記事では弊社の知見をおり混ぜ、オフショア開発を成功させるためのポイントについて執筆しております。 オフショア開発のアウトソーシングを検討している企業や個人にとって、必要な情報を網羅的に提供する内容となっています。

オフショア、オンショア、ニアショアとは?

オフショア開発と類似する「オンショア」「ニアショア」といった開発方法をお耳にかけたこともあるかと思います。

どれもソフトウェアの開発手法ですが、ここではよくでてくるそれぞれの開発について比較し、特徴や違いを解説します。

オフショア開発とは

オフショア開発とは一般的に、企業が自国以外の国で開発をすることをいいます。

コスト削減や高度な技術を求めて行われ、ベトナムやインド、フィリピンなどが代表的な開発先国として選ばれています。利点として、専門性の高さやコスト削減効果があり、課題としてはコミュニケーションの難しさがあります。

オンショア開発とは

オンショア開発は、本拠地の自社内で完結させる開発体制のことを言います。

オンショア開発の最大の利点は、密接なコミュニケーションが可能な点です。 一方、その分日本人の開発人材不足とアサインコストの影響を大きく受けます。

ニアショア開発とは

IT業界において国内の地方企業にシステム開発を委託することをニアショア開発と言います。地方であれば、首都圏よりも人件費を抑えることができるメリットがあります。

ニアショア開発は、オフショア開発のコスト削減効果とオンショア開発の密接なコミュニケーションの中間に位置する選択肢です。 日本人なので基本的にコミュニケーションの壁はありません。 ただし、日本人のIT人材であることには変わりないのでコストが海外と比べると割高になります

開発方式選択の判断基準

オフショア開発を検討される際、大きく以下2つ要素を考慮される場合が多いです。

  • 開発コスト
  • コミュニケーションによる障壁

開発方式の選択は、開発コストだけでなく、プロジェクトの成功と長期的な事業戦略を考慮して慎重に行う必要があります。オフショアで重要なのは、海外側の日本語力もそうですがその間に入っている会社も、海外コミュニケーションに対してどこまで対応できているかが成功の鍵となるでしょう。

オフショア開発の目的は?

オフショア開発には、主に2つの大きな目的があります。それは、開発リソースの確保とコスト削減です。これらの目的について、詳しく見ていきましょう。

開発リソースの確保

日本国内では、IT人材の不足が深刻な問題となっています。 このような状況下で、オフショア開発は重要な解決策の一つとなっています。

国内のIT人材不足の解消

オフショア開発を活用することで、今後続きIT人材不足を補うことができます。 経済産業省の報告によると、国内のIT人材は以下のように年々不足しています。

出典:経済産業省「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業

コスト削減

オフショア開発のもう一つの大きな目的は、開発コストの削減です。

JETROによると、ベトナム統計総局が公表した、2022年第2四半期のベトナムIT業界の給料を日本との比較換算では約1/3とされています。

人件費の削減

オフショア開発を行う国の多くは、日本と比べて人件費が安いことが特徴です。これにより、同じ規模のプロジェクトでも大幅なコスト削減が可能となります。

IT技術者の平均月給(概算)
ベトナム 日本の約1/3
フィリピン 日本の約1/2

以上のように、オフショア開発には多様な目的があります。各企業の状況や戦略に応じて、これらの目的を適切に組み合わせることで、より効果的なオフショア開発の実現が可能となります。

オフショア開発のメリット

オフショア開発には、企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、主要なメリットについて詳しく解説していきます。

コスト削減

先述もしましたがオフショア開発の最大のメリットは、開発コストの大幅な削減です。特に、人件費の安い国や地域に開発を委託することで、国内開発と比較して1/3程度のコスト削減が可能となります。

人件費の削減

開発者の人件費は、国や地域によって大きく異なります。 ベトナムのソフトウェアエンジニアの月額給与は日本の約3分の1程度とも言われています。

設備投資の削減

オフィススペースや開発機材などの設備投資も、オフショア開発では大幅に削減できます。これらのコストは通常、委託先の開発会社が負担するため、発注側の企業にとっては大きなメリットとなります。

人材確保の容易さ

日本国内では、IT人材の不足が深刻な問題となっています。オフショア開発を活用することで、この問題を解決し、優秀な人材を確保することができます。

豊富な人材プール

インドやベトナムなどのIT先進国では、毎年多くのIT人材が輩出されています。これらの国々では、高度なスキルを持つエンジニアを比較的容易に見つけることができます

専門性の高い人材の確保

特定の技術や言語に特化した専門家が必要な場合でも、オフショア開発では幅広い選択肢から最適な人材を見つけることができます。

リスク分散

オフショア開発は、ビジネスリスクの分散にも寄与します。

地理的リスクの分散

自然災害や政治的問題などのリスクを、地理的に分散させることができます。

日本では、首都直下地震や南海トラフ地震のような大規模災害の発生リスクが高まっています。 一部の地域が被災しても、他の拠点で業務を継続できるようにし、企業活動の完全な停止を回避する必要もあると思います。このアプローチは、事業継続計画(BCP)の観点からも重要な戦略となっています。

ニアショア開発では、国内の地理的に離れた場所に開発拠点を設けることで、リスクを分散させます。 一部の地域が被災しても、他の拠点で業務を継続できるため、企業活動の完全な停止を回避できる可能性が高まります。このアプローチは、事業継続計画(BCP)の観点からも重要な戦略となっています。

オフショア開発パートナーと協業することで、特定の会社や地域に依存するリスクを軽減できます。

これらのメリットを最大限に活かすためには、適切なオフショア開発パートナーの選定と、効果的なプロジェクト管理が不可欠です。次の章では、オフショア開発のデメリットとその対策について解説していきます。

オフショア開発のデメリット

オフショア開発には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの重要なデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対処することが、オフショア開発の成功には不可欠です。

コミュニケーションの課題

オフショア開発における最大の課題の一つは、効果的なコミュニケーションの確立です。言語の違いや文化的な差異により、意思疎通が困難になることがあります。

言語の壁

言語の違いは、プロジェクトの進行を妨げる大きな要因となる可能性があります。日本語と英語、あるいは現地語での意思疎通が必要となり、誤解や解釈の違いが生じやすくなります。

時差の問題

日本とオフショア開発国との間の時差も、リアルタイムでのコミュニケーションに影響します。 例えば、ベトナムとは2時間の時差があります。あまり日本とはずれていませんが、即時の対応が難しい時間帯が発生する可能性があります。

文化的な違い

文化的な背景の違いにより、コミュニケーションスタイルや仕事に対する姿勢に差が生じることがあります。これらの違いを理解し、適切に対処することが重要です。

文化や習慣の違いによる問題

オフショア開発では、文化や習慣の違いが予想以上に大きな影響を与えることがあります。これらの違いを理解し、適切に対処することが重要です。

労働観の違い

労働に対する考え方や価値観が日本と異なる場合があります。例えば、残業に対する姿勢や休暇の取り方などが日本とは大きく異なることがあります。

ビジネス慣行の違い

契約の捉え方や納期に対する感覚など、ビジネス慣行の違いが問題を引き起こすことがあります。日本の「阿吽の呼吸」や「空気を読む」といった文化が通用しない場合が多いです

宗教的な配慮

イスラム教国など、宗教的な習慣が強い国との取引では、礼拝の時間や断食月(ラマダン)などへの配慮が必要となる場合があります。

セキュリティリスク

オフショア開発では、情報セキュリティに関するリスクも無視できません。地理的な距離や法制度の違いにより、セキュリティ管理が困難になる場合があります。

データ漏洩のリスク

機密情報や個人情報の管理が適切に行われない場合、重大なデータ漏洩事故につながる可能性があります。情報処理推進機構(IPA)の製品開発におけるセキュリティガイドラインを参考に、適切な対策を講じることが重要です。

知的財産権の保護

知的財産権の保護が十分でない国では、開発した技術や製品の権利が適切に保護されない可能性があります。契約書での明確な規定や、必要に応じて現地の法律専門家のアドバイスを受けることが重要です。

これらのデメリットを十分に理解し、適切な対策を講じることで、オフショア開発のリスクを最小限に抑え、そのメリットを最大限に活かすことが可能となります。

特に、コミュニケーション面での工夫や、セキュリティ対策の徹底が重要です。また、文化の違いを理解し尊重する姿勢も、成功の鍵となるでしょう。

オフショア開発の主な対象国とその特徴

オフショア開発の対象国は多岐にわたりますが、ここでは主要な国々とその特徴について詳しく解説します。各国の特性を理解することで、プロジェクトに最適な開発パートナーを選択する際の参考になるでしょう。

開発検討先の国として、主要な候補をご紹介いたします。

ベトナム

ベトナムは、近年オフショア開発の人気対象国として急速に台頭してきました。その理由としては以下が挙げられます:

  • 高度な技術力と教育水準
  • 比較的安価な人件費
  • 日本との文化的親和性
  • 政府のIT産業支援策

ベトナムの技術者は、数学や論理的思考に優れており、複雑なプログラミングにも適応力が高いと評価されています。また、日本語教育にも力を入れており、日本企業とのコミュニケーションがスムーズに行える人材も増加しています。

ベトナム人は向上心が高いうえに、日本人よりも転職が身近にあることから、スキルアップのために勉強を行う人が多くいることがわかっています。

IPAによる2017年の調査報告をみますと、ベトナムのIT人材の平均勉強時間は3.5時間で、IT大国であるインドの4.0時間に次いで2位という内容になっています。

ベトナムのIT人材の高い技術力

ベトナムは国家戦略として教育、特にIT分野の発展を重視しており、その成果が国際的な場で顕著に表れています。

  1. 国際数学オリンピックでの好成績(2017年金メダル、銀メダル、銅メダル取得、2022年4位)
  2. 国際プログラミングコンテストでの活躍(ベトナム国家大学ハノイ校の5年連続決勝進出)
  3. 政府主導の積極的な教育政策(早期からの英語・コンピューター教育、STEM科目の強化)
  4. 外資企業誘致のための優遇税制

これらの要因により、ベトナムは高度なIT人材を多数輩出し、世界的なIT人材供給地として注目を集めています。

このような理由から、オフショアの委託先にベトナムを選ぶ企業が多い実態となっています。

フィリピン

フィリピンもオフショア開発の主要な対象国の一つです。以下のような特徴があります:

  • 英語力の高さ
  • 親日的な国民性
  • BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業の発達
  • 時差が日本と1時間のみ

フィリピンは英語を公用語としており、コミュニケーションの面で大きな強みを持っています。特に、英語でのドキュメンテーションや国際的なプロジェクトにおいて、この強みが発揮されます。

インド

インドは長年、オフショア開発の代表格として知られてきました。その特徴は以下の通りです:

  • 豊富なIT人材
  • 高度な技術力
  • 英語でのコミュニケーション能力
  • 大規模プロジェクトの経験

インドのIT産業は世界的に評価が高く、グローバル企業の多くがインドにR&Dセンターを設置しています。特に、人工知能やビッグデータ分析など、最先端技術の開発においても強みを発揮しています。

その他

上記の国々以外にも、以下のような国々がオフショア開発の対象として注目されています:

国名 主な特徴
中国 巨大な国内IT市場、高度な技術力、豊富な人材
ポーランド EU圏内、高い教育水準、欧米企業との取引実績
ウクライナ 数学や理系に強い人材、比較的安価な人件費
マレーシア 多言語対応、安定した政治経済、整備されたインフラ

これらの国々は、それぞれ独自の強みを持っており、プロジェクトの特性や要件に応じて選択されることが多いです。

依然としてベトナムが人気!

様々な対象国がある中で、日本企業のオフショア開発先として、ベトナムが依然として高い人気を誇っています。その理由としては以下が挙げられます:

  • 地理的な近さ(時差が2時間)
  • 日本語学習熱の高さ
  • 日本の文化や仕事の進め方への理解
  • 政府のIT産業育成政策
  • 若い労働力の豊富さ

ベトナムのIT人材は年々増加しており、2025年までに50万人に達する見込みとされています。この成長性も、日本企業がベトナムを選ぶ大きな理由の一つとなっています。

日本語での開発プロジェクトの際はベトナムを、英語の際はフィリピンかインドを選ぶのが基本となります。

それぞれの国の特徴を理解し、自社のニーズに最も適した選択をすることが、成功的なオフショア開発の鍵となるでしょう。

オフショア開発の進め方

オフショア開発を成功させるには、適切な進め方が重要です。ここでは、オフショア開発を効果的に進めるための主要なステップと注意点について詳しく解説します。

大きく、以下の流れで進めていきます。ここではオフショアを選定した場合の流れをご紹介します。

STEP
プロジェクト開発方法の確定(オフショアを選定)
オフショア開発を選択する理由(コスト削減、専門技術の活用など)を明確にし、プロジェクトの目標や規模に適した開発手法(ウォーターフォール型、アジャイル型など)を決定します
STEP
オフショア国の確定
開発コスト、技術力、言語スキル、時差、文化的親和性などを考慮し、最適なオフショア開発国を選定します。一般的には、ベトナム、インド、中国、フィリピンなどが候補となります。
STEP
開発依頼会社の選定
選定した国の中で、プロジェクトに適した開発会社を探します。技術力、過去の実績、コミュニケーション能力、セキュリティ対策などを評価基準とします。コミュニケーションを懸念される場合、間に日本人コミュニケーターがいる会社が望ましいです。
STEP
契約条件の確定
開発範囲、納期、コスト、品質保証、知的財産権、機密保持などの契約条件を明確に定めます。双方の責任と義務を明確にし、リスクを最小限に抑えるための条項を盛り込みます。
STEP
コミュニケーション体制の構築
オフショア開発チームとの効果的なコミュニケーション方法を確立します。定期的なビデオ会議、進捗報告の頻度と方法、問題発生時の連絡体制などを決定します。
STEP
開発開始
プロジェクト計画に基づいて実際の開発作業を開始します。開発環境の構築、コーディング、単体テストなどを行います。アジャイル開発の場合は、短いスプリントサイクルで機能を開発し、フィードバックを得ながら進めます。
STEP
進捗管理と問題解決
定期的に進捗状況を確認し、計画との差異を分析します。問題が発生した場合は迅速に対応し、必要に応じて計画を修正します。ステークホルダーへの報告も適切に行います。
STEP
納品と評価
開発したシステムをリリース前に、品質や成果を評価します。ユーザー受け入れテストを実施し、要件を満たしているか確認します。必要に応じて最終調整を行い、本番環境への移行を準備します。

オフショア開発成功のためのポイント

オフショア開発を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえることで、プロジェクトの成功率を高めることができます。

適切な開発会社を選ぶこと

オフショア開発の成功は、適切なパートナー企業の選定から始まります。以下の点に注意して選定を行いましょう。

  • 技術力と実績
  • コミュニケーション能力
  • セキュリティ対策
  • 財務状況
  • 開発プロセスの透明性

コミュニケーションコストを考える

オフショア開発では、言語や文化の違いによるコミュニケーションの課題が大きな障壁となります。これを克服するためには、以下の点に注意が必要です。

日本人プロジェクトマネージャーの重要性

日本人プロジェクトマネージャーを介することで、言語や文化の壁を軽減し、スムーズなコミュニケーションを実現できます。日本人プロジェクトマネージャーは以下の役割を果たします。

  • 要件の正確な伝達
  • 進捗管理と問題解決
  • 文化的な違いの橋渡し
  • 品質管理の徹底

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まとめ

オフショア開発とは、国外の企業に開発を委託する方式で、コスト削減や人材確保が主な目的です。ベトナムやフィリピン、インドなどが人気の対象国ですが、依然としてベトナムが注目を集めています。メリットとしてはコスト削減や開発スピードの向上が挙げられますが、コミュニケーションや品質管理の課題もあります。成功のポイントは、適切な開発会社の選定、明確な目標設定、そして日本人プロジェクトマネージャーの存在です。今後は技術革新やグローバル化の進展により、オフショア開発の形態も変化していくでしょう。日本企業にとって、オフショア開発は重要な選択肢の一つとなっていますが、その特性を理解し、適切に活用することが成功への鍵となります。